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資金調達 運転資金

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会社が事業を運営していくためには、ヒト・モノ・カネの経営資源が必要です。中でも運転資金は、会社経営を続けていくために非常に重要なものです。業況がよくても、運転資金を把握していないと黒字倒産してしまうこともあります。そこで今回は、運転資金の概要や計算方法、資金調達手段について紹介します。運転資金について詳しくなることで、安定した会社経営を実現することができるでしょう。

会社を運営する上で必要な資金を運転資金と言います。運転資金にはいくつか種類があり、いくら・どの時期に必要なのかを正確に把握していることが大切です。
この記事では、運転資金の概要から不足する原因、資金繰り対策について詳しくご紹介していきます。

法人・個人事業問わず、開業時やスタートアップ段階での事業拡大時にネックとなりやすいのがお金の問題です。当然、自己資金のみですぐ解決できるのであればそれが一番ですが、この記事を見ている方のほとんどが開業資金や運転資金に悩んでいるのではないでしょうか。

せっかく「これはいける!」という事業アイデアがあったとしても、先立つものがなければそのアイデアが日の目を見ることはありません。資金を調達するには、幾つかの選択肢があります。開業資金の調達方法と、そのメリット・デメリットについて見ていきましょう。

運転資金の種類

運転資金とは、会社経営をする上で発生するさまざまな費用をまかなうためのお金です。新しい設備の購入や災害復旧にかかった費用などの突発的な費用ではなく、事業運営をしていく中でかかる費用をまかなう手元資金をいいます。

代表的な運転資金としては、原材料や商品の仕入費用・人件費・事務所の家賃・水道光熱費・インターネット関連費用などがあり、運転資金はその特徴からさまざまな種類に分けられます。

ここまで運転資金の考え方や計算式などについて解説してきましたが、実は運転資金は4つの種類に分けることができます。

どのようなタイミングでどんな資金が必要になるのか知っておくことで、安定した経営を心がけられるでしょう。

これからお伝えする4つの種類について、把握しておきましょう。

経常運転資金(正味営業運転資金)

経常運転資金とは、会社を運営していくために通常必要となる資金です。先に挙げた仕入費用や人件費は経常運転資金に分けられ、一般的に「運転資金」という場合には、この経常運転資金のこと指します。

基本的に運転資金と言うと、この経営運転資金を指すことが多いです。
現状と同じ状態で事業運営をするために必要なお金で、前述した事務所費用、人件費、原価など恒常的に発生する支出の支払いに割り当てられます。

経常運転資金は、以下の計算式で算出します。

売掛金 + 棚卸資産 - 買掛金  = 経常運転資金

売掛金
売掛金とは売上債権、売掛債権とも言います。商品・サービスの提供が済んでいてまだ回収していない金額を指します。

棚卸資産
棚卸資産とは在庫のことです。在庫がたまるとキャッシュの流れが滞るため、早めに売却することが重要です。

買掛金
買掛金とは、仕入れや外注費などのうちまだ支払っていない代金を言います。
この経常運転資金にプラスで、増加運転資金・季節運転資金や納税予定などを考慮して資金繰りをする必要があります。

基本的に運転資金と聞いてイメージする資金=経常運転資金となります。

なお下記の計算式で具体的にいくら必要なのか求めることができます。

 経常運転資金の計算式
売掛金+棚卸資産 - 買掛金
簡単にいうと、事業を継続して行うために必要な資金ともいえます。

どの会社、事業でも必要となる運転資金です。原材料、商品などの仕入れ代金の決済や人件費や家賃などが経常運転資金となります。

会社が正常な営業活動を行っていくために必要な資金です。売り上げの入金時期と仕入れの支払い時期のギャップから発生し、経常的に必要となります。

増加運転資金

増加運転資金とは、事業を大きくしていくときに追加でかかる運転資金です。売上が上がってから実際に入金されるまでにはタイムラグがあります。取引先からの仕入を増やして売上を増やしていけばいくほど、入金までの間をつなぐ資金が必要になります。このとき必要になる資金が、増加運転資金です。

売上が増加した場合に必要な運転資金を増加運転資金と言います。
例えば新規取引を受注すると、売上だけではなく仕入費も増大します。売上が増えるのは喜ばしいことですが、十分な増加運転資金を確保していない場合、帳簿上は黒字だったとしても倒産に追い込まれるリスクもあります(黒字倒産)。

商品やサービスの売上が急増するということは、人員を増加したり、仕入れ数を増加したり、新たな販売先が必要になったりと、売上に比例して必要となる資金も増えていきます。

このように売上が増加したときに必要となる資金のことを、増加運転資金といいます。

売上が急増するのは企業にとっても喜ばしいことですが、普段から資金を蓄えておかないと黒字なのに倒産してしまう事態にもなりかねません。

 創業期から成長期に移った企業等事業が順調に伸長している場合に必要となる運転資金です。

 事業が成長・拡大すると仕入れ代金が日々増加する一方で売上債権の回収にはタイムラグがあります。また、事業が成長すると人の採用や事務所の拡張などが必要となり、人件費、家賃などの資金負担も増加します。

 増加運転資金は、将来の売上や利益が期待できることから、金融機関からの借り入れなども比較的スムーズに行うことができます。

事業が好調で、売り上げが伸びていった場合に必要な資金です。売り上げが増えれば、仕入れや増員した分の人件費など、通常より多くの費用がかかります。そのため、増加した売り上げの入金まで、つなぎとして増加運転資金が必要になる場合があります。

減少運転資金

減少運転資金とは、事業を縮小していくときにかかる資金です。事業が悪化していくと、好調だったときの仕入費用・人件費・業務委託費などが、売上に対して余分にかかっている状態になります。また、店舗の閉鎖など経費削減にまつわる費用もかかるでしょう。このような費用を減少運転資金と呼びます。

前述の際に必要となる資金の反対で、売上が減少している際には、減少運転資金を必要とします。

たとえ売上が減少してしまったとしても、人件費や家賃などの支払いは変わりません。

また仕入れ代金などの支払いもあるでしょう。

つまり、支払わなければいけない代金は同じであるにも関わらず、売上は減少しているため、支払いに充てられる資金が不足しています。

このような際に減少運転資金でまかない、不要なコストをカットするなどして経営状態が傾かないように努力する必要があります。

いくら日頃から資金をプールできていたとしても、売上が減少し続ければ経営状態も悪化していきます。

そのため一刻でも早く売上を改善させなければなりません。

事業やサービスによっては、特定の季節にだけ増加して必要になる季節運転資金というものも存在します。

一般的な季節運転資金の例
 クリスマス:クリスマスに関する商品やケーキなど
お正月  :お正月に関する商品など
ハロウィン:ハロウィンに関する商品や食べ物など
なお上記のような季節商材の他にも、季節によって売上の増減が激しい商品もあります。

季節によって売上の増減が激しい商品の例
 アイス→夏場の方が売上が上がる
おでん→冬場の方が売上が上がる
このように季節によって需要が高まる商品の場合は、需要が低い時期と同じ量を仕入れていたのでは、間に合いません。

必ず決まった時期に売上が伸びる商品を扱っているのであれば、その時期に向けて仕入れを増やせるだけの資金を準備しておく必要があります。

コロナ禍で苦しくなっている事業者も多いかと思います。

 減少運転資金とは、事業の売上が減少しているときに、人件費の支払いなど固定費の穴埋めをする場合の運転資金です。

 確実に事業の経営が軌道に乗ることが見込まれるであれば、この運転資金により、収入と支出のタイムラグを埋めることができます。

 しかし、将来の事業運営に確信が持てない場合には、事業の見直しや経費削減などにより、早急に経営のバランスを見直す必要があります。

事業が不調で売り上げが減少していった場合に必要な資金です。売り上げが下がっていくと、事業規模を縮小するためにかかる諸経費、売り上げが好調だった頃の仕入れ、人件費などの費用を支払うため、資金が足りなくなる場合があります。売り上げの回復や、コスト削減により事業の回復を実現するまでの間、つなぎとして資金が必要になります。

季節性運転資金(季節資金)

季節性運転資金とは、毎年決まった時期に必要となる追加の運転資金です。従業員の賞与や季節商品(エアコン、暖房、ランドセルなど)の仕入れなど、季節要因が関係することで増加する運転資金です。

ある特定の時期に増加する運転資金です。例えば、クリスマスの時期に需要が高まる商品を売っている場合、通常の時期よりも商品が売れるため、仕入れのための費用も増加します。
需要が増加する時期が分かっている場合は、季節運転資金の蓄えをしておく必要があるでしょう。

特定の季節によって必要となる資金のことを言います。

 例えば、クリスマスやバレンタインデーなどにむけ、お菓子業界では、2~3カ月前から材料の仕入れが増加します。

 販売機会を失わないよう材料を手当する必要がある一方、過剰な在庫を抱えないように適切な販売計画を基にした仕入れが必要となります。また、夏季と冬季に支給する賞与、納税資金なども季節運転資金にあてはまります。

特定の季節に必要となる資金です。代表的なものに、従業員に支払うボーナスがあります。他にも、事業内容や取り扱う商品などさまざまな事情で、売り上げが月によって大きく変動する場合に必要な資金も季節運転資金と呼ばれます。たとえば冷房設備を販売する会社の場合、売り上げが集中する春から夏にまとまった仕入れが必要です。融資を受ける場合、返済まで1年以内の短期間となるのが一般的です。

赤字補填資金

発生した赤字を補填するための資金です。赤字が継続すると、手持ち資金が減少し、仕入れの支払いや給与の支払いが難しくなります。

他にも銀行からの評価が下がり、借り入れの金利が引き上げられ支払いが増えることもあります。こうした影響で資金繰りが悪化することを防ぐために、資金が必要となります。

運転資金の内訳

どんな事業を行うのかにもよって必要な運転資金は異なりますが、どんな業界でも変動費と固定費について把握しておく必要があります。

 変動費とは?
変動費とは簡単にいうと売上に比例して日々、変動する費用のことをいいます。
具体的には下記の項目が変動費にあたります。

変動費の例
 材料費
仕入れ費
運賃
消耗品費
外注費
このような項目に該当する費用は、変動費として扱われます。

続いて、固定費についても解説します。

 固定費とは?
固定費とは簡単にいうと売上に関係なく、必ず発生する費用のことをいいます。
具体的には下記の項目が固定費にあたります。

固定費の例
 事務所や店舗などの家賃
管理費
人件費
広告費
保険料
減価償却費
このような項目に該当する費用は、固定費として扱われます。

簡単にまとめると、変動費とは売上が上がれば増える支出で、売上が減ればそれに伴い下がる支出のことを指します。

その反対に固定費とは売上の増減とは関係なく、一定の支出となる費用のことを指しています。

ここまでお読みいただいた方の中には、

人件費や広告費などは、売上の増減によって変わるのでは……?
と疑問に思われた方もいるでしょう。

確かに人件費や広告費は売上によっても多少の上限が生じる支出です。

固定費とは、常に一定の金額が必要となるものではなく、たとえ売上がなかったとしても必ず必要になる費用だと考えるとわかりやすいでしょう。

変動費

変動費とは、売上の増減によって変動する費用のことです。材料費・仕入費・賃金・商品の運搬代などが含まれます。売上高を増加させるためには、その分製造原価や商品仕入を増やさなければならず、必要資金が増加する傾向にあります。

固定費

固定費とは、売上高の増減に関わらず一定でかかる費用です。従業員の賃金や家賃、リース料がこれに当てはまります。売上がゼロであっても発生する費用という考え方もできます。金額は多少変動することはありますが、月々一定の金額がかかる費用を固定費に分類します。

運転資金と設備資金の違い

運転資金と似たような用語に「設備資金」というものがあります。設備資金とは、事業を行う上で必要となる資産を購入するための資金です。毎年経常的にかかってくる費用ではないために、運転資金と区別しています。

具体的には、製造設備・工場機械・土地/建物・車両・OA機器・システム関連費用・Webサイト・ECサイト構築費用などの設備投資費用がこれにあたります。

運転資金と似たような言葉に、設備資金という言葉があります。

設備資金とは簡単にいうと、長期的に継続して必要になる資金ではなく、その時だけ必要になる資金のことをいいます。

設備資金の例
 車を購入する費用
土地を購入する費用
パソコンなどの機材を購入する費用
なお設備資金は決算書上、会社の資産をとして認められます。

似たような言葉で混同されがちな二つの資金ですが、その性質と扱いは全く異なるという点に気をつけましょう。

運転資金が不足する原因

運転資金はどのような場合に不足するのでしょう。
まず考えられるのは売上減少などによる経営悪化です。売上が減れば、事業を運営するために必要な利益を確保できません。

そして、売上が増加した時にも運転資金が不足する可能性があります。
日本では掛取引が一般的で、

仕入れ→在庫→販売

の流れで事業を運営します(商品を作らずサービス提供のみの場合は、「在庫」は省いて考えてみてください)。
商品・サービスの代金回収が数ヶ月後であるにも関わらず、仕入れや外注費の支払いをしなければならない場合、帳簿上は黒字でも資金が不足します。
このように通常の事業運営だけで運転資金を確保できない場合、資金調達を考える必要があります。

場合によっては必要な運転資金が不足してしまうこともあるのでしょうか……?

不足することもあるのであれば、その原因と対処法について教えてください。

ここからは、運転資金が不足してしまう5つの原因とその対処法について解説します。

会社の収支の把握が不十分

まず、会社の収支をきちんと把握できていなければ、当然資金が不足してしまう恐れがあります。

そのような事態を避けるためにも常日頃から、資金繰り表を作成し活用することをおすすめします。

会社の経営を安定化させるために必要な資金繰り表とは、会社の現金収支をまとめた表のことで現金の流れを可視化することができます。

資金繰り表はエクセルでも簡単に作成できますし、インターネットで検索すればテンプレートも見つかります。

運転資金を不足させないためにも、経営者自ら現金の流れについて理解しておく必要があります。

 資金調達は経営者の仕事です。しかし、経理は税理士任せだったり、月次決算を行っていなかったりして、資金繰り表を作っていない会社は意外に多いです。

 資金不足に悩んでいる場合には、経営者自ら資金繰り表を作り、資金の状況を確認することをおすすめします。

 顧問税理士と相談して、先の2、3カ月を目途に資金繰り表を作成することを心がけましょう。

売上債権を抱えすぎている、または管理が不十分

売上はあるのに実際に入金されるまでに数ヶ月もかかる場合は、どうしても資金繰りが悪化しがちです。

特に支払い条件を売掛先任せにしていたり、請求漏れがあったりする場合は一度、全ての売掛け債権を見直してみましょう。

なお売掛先の支払い遅延がある場合も、どのくらいに支払われるのか一度確認してみる必要があります。

いくら売上が上がっていて黒字経営だったとしても、入金サイトが長ければ長いほど、自社の経営は安定しなくなるということを肝に命じておくべきです。

 次のような状況が起きているなら直ちに債権管理業務を改善しましょう。

支払い条件が取引先の言いなり
納品書、請求書などの発行漏れ、遅れ、再発行が多発
請求と入金の消込をしていない、遅い
支払いの遅れた請求書を顧客に督促していない

在庫管理が不十分

在庫を抱えてる場合にも注意が必要です。

というのも在庫とは、売れて初めて利益になります。

つまり変えている在庫の数や量が多いほど、自社の経営を苦しめているということです。

在庫があまりにもたまっている場合は、在庫を対象としたセールを行うなど、すぐにでも売りさばくことに力を入れてみましょう。

次のような状況が起きているなら直ちに在庫管理業務を改善しましょう。

売上高や販売数量の目標(計画)が無い
仕入数量や価格など調達基準が無い
5Sが徹底されず倉庫や在庫置き場が乱雑
滞留品の処分(損切り)基準が無い

仕入債務管理が不十分

次のような状況が起きているなら直ちに仕入債務管理業務を改善しましょう。

支払い条件が仕入先の言いなり
翌月の支払い金額を把握していない
早期払い、支払い遅れなどを仕入先より指摘される

売上の変動

先ほど少しだけお伝えしましたが、売上が急激に増えた場合も注意が必要です。

売上が増えたということは、その分、材料の仕入れを追加でしなくてはならなくなったり、人員を増やさなくてはならなくなったりと、資金がかかります。

日本では信用取引が一般的に行われているため、帳簿では黒字だったとしても手元の現金は不足してしまうのです。

短期間での大きな支出

短期間で大きな支出があった場合も資金が不足する恐れがあります。

例えば、ボーナスの支払いやリコールなどが上記に該当するでしょう。

必要な運転資金の計算方法と目安

必要な運転資金額を計算することは、資金繰りを安定させるためにも重要です。黒字倒産とならないためにも、計算式と必要運転資金の目安を知っておきましょう。

必要な運転資金を求める計算式

必要な運転資金を求める計算式

必要運転資金は、以下の計算式によって算出します。

運転資金=売上債権+棚卸資産-仕入債務

決算書の中の貸借対照表の売上債権(売掛金)、商品在庫などの棚卸資産、そして仕入債務(買掛金・未払金)のそれぞれの残高をチェックして計算式にあてはめてみましょう。たとえば、売上債権が300万円、棚卸資産が400万円、仕入債務が200万円の会社の場合の運転資金は次のようになります。

運転資金=300万円+400万円-200万円=500万円

売上債権と棚卸資産にはその裏側に仕入資金があり、資金が出ていったままの状態になっている金額です。仕入債務は将来発生する資金ですが、今の時点では支払いがない金額です。これを差し引きすることで、商品を販売し入金されるまでのつなぎに必要な資金、つまり運転資金が算出されます。

自分の事業に必要な資金に、どのような項目があるのかわかりました!
そこで具体的にどのくらいの金額が必要になるのかがわかる、運転資金の計算式についても知っておきたいです……。
上記でどんな運転資金が必要になるのか判明したら、具体的にいくらかかるのかきちんと計算し計画を立てていく必要があります。

ここでは、運転資金の計算式について解説するので、それぞれの事業に当てはめて考えてみましょう!

なお冒頭の方でもお伝えしたように運転資金が足りなくなるということは、事業を継続できなくなる危険性を孕んでいます。

安定した経営を行うためにも、計算式を活用してどのくらいの金額を用意できれば安心なのかということを確認しておきましょう。

なお計算式には下記の2通りの方法があります。

①在高方式
在高方式とは、必要になるだいたいの運転資金を求められる計算方式のことをいいます。

 運転資金の計算式(在高方式の場合)
運転資金=売掛金+棚卸資産−買入債務
上記の計算式でそれぞれ計算してみましょう。

なぜこの計算式で運転資金を求めることができるのでしょうか……?
このように、疑問に思われている方も多いはずなので、その理由についても解説していきます。

まず日本では一般的に信用取引といって、先にサービスを提供したり商品を仕入れたりし、支払いは後日行われます。

このような取引の仕方が一般的であるため、商品を販売してから売掛金が入金されるまでに数ヶ月のタイムラグが生じます。

そのライムラグが発生している最中にも、人件費や、家賃、水道光熱費などがかかり続けます。

さらに商品の材料の仕入れなども滞りなく行わなければならないでしょう。

このように売掛金の入金を待っている間に必要となるのが運転資金なのです。

運転資金の計算式でもお伝えしたように、売掛金+棚卸資産−買入債務で、まだ手元に現金として入金されていない金額から今後支払うべき金額を計算することで、用意しておくべき運転資金の額が明らかになります。

②回転期間方式
前述した在高方式では、売掛金が入金されるまでに必要ないわば、つなぎの金額を求めることができました。

それに対して回転期間方式では、一定期間の間にどのくらいの運転資金が必要なのかという、より詳しい金額を知ることのできる計算方式です。

 運転資金の計算式(回転期間方式の場合)
運転資金=平均月商 ×(売上債権回転期間+棚卸資産回転期間-買入債務回転期間)
上記の計算式に当てはめると、より具体的に必要となる金額を求められます。

なおここでの回転期間の定義とは、下記の通りです。

回転期間の定義
仕入れ:買入債務の発生から代金の支払いまで
売上 :売上債権の発生から回収されるまで
在庫 :在庫を入手してから全部を売り払い、代金の回収まで

必要な運転資金の目安

必要な運転資金の目安は業界や業種、事業の形態などによって異なります。飲食業の場合には、仕入れから資金回収までの回転期間は短いために、手元のキャッシュは比較的小さな金額で済みます。

一方で、不動産開発業などは投下資金の回収まで1年近くかかる場合があり、多額の運転資金が必要となります。必要な運転資金は、売掛金の回収が遅延したり、不良債権になってしまったりするなどのトラブルがあったときにも事業を継続していけるかどうかという視点で考えることが重要です。

1カ月分の運転資金だけでは資金不足に陥る可能性があるため、一般的には3~6カ月分が運転資金として必要な額の目安とされています。

運転資金は、少なければ資金繰りに追われ、多ければ不要な資金の借り入れにより余分な金利を払うことになります。

 適切な運転資金管理を行うための基本は、資金繰り表です。資金繰り表をきちんと作成して2~3カ月後の資金の状況を把握し、不足が予想される場合に適切な対策をとることが基本です。


 資金繰り表を作成していない会社では、会社の規模や業種に応じた運転資金の目安を知り、事前に資金調達しておくことはとても重要です。

 現預金残高>運転資金の状態をキープすると資金の運用効率は下がりますが、資金不足のリスクは減少します。

 運転資金の目安は、先程ご紹介した売上債権・棚卸資産・仕入債務の3要素から求めます。この考え方は銀行融資の立場からの考え方になります。

 売上債権500万円、棚卸資産200万円、仕入債務300万円を例にすると、500万円+200万円-300万円=400万円となり、目安となる運転資金は400万円となります。

運転資金の計算方法は、売上債権+棚卸資産-仕入債務で求まります。
運転資金の計算方法
 なお、この計算は、営業上の仕入れ・在庫・販売を対象としていますので、人件費などの固定費は含まれていません。

 また、月別の売上変動の多い建設業などの業種や現金収入の多い飲食業などは、別の計算方法が必要です。

 回転期間や日数などを考慮するなど色々な計算手法はあります。

 しかし、筆者は、資金運用効率などを含めて考えると、資金繰り表を作成して2~3カ月の資金状況を把握することが一番適切な手法とアドバイスしています。

運転資金の調達方法

開業時や事業拡大時には外部から運転資金を調達したほうが、機動的な事業拡大を見込むことができます。ここでは、運転資金を確保するための融資や補助金・助成金について紹介しましょう。

日本政策金融公庫からの融資

日本政策金融公庫は、政府が100%出資する金融機関で、創業融資や運転資金融資のほか、災害復興やコロナ感染対策など政策に関わる融資制度を用意しています。

法人のほか、個人事業主や小規模事業者でも相談しやすい金融機関で、条件を満たせば無担保、無保証人での融資を受けられます。金利も比較的低金利で、一定期間返済を据え置く制度もあります。

融資の審査は他の調達方法よりは長めで、相談から融資実行まで2カ月前後かかりますので、短期的な資金を調達するときには注意が必要です。

民間の金融機関からだけでなく、日本政策金融公庫から融資を受けることもできます。日本政策金融公庫とは、日本政府が100%出資をしている機関です。「無担保・無保証」で上限3,000万円までの融資を受けられる可能性があり、事業計画と返済計画さえしっかりしていれば審査通過率は高くなります。

そのため、民間金融機関から融資を受けにくい起業家から利用されやすい開業資金調達方法です。起業前にも利用できるので、起業資金調達方法としてもおすすめ。しかし日本政策金融公庫から融資を受けるには、「融資希望額の10分の1の自己資金を所有している」などの条件があります。また、申し込みから融資まで1ヶ月ほどの時間がかかるケースがあることも考慮しなければなりません。

民間の金融機関からの融資

都市銀行・地方銀行・信金・信組など民間の金融機関からの借入れも心強い味方です。主な商品として、一般の事業性融資と不動産担保ローンがあります。

一般の事業性融資
民間の金融機関は創業資金、運転資金などさまざまな貸付を行っています。金利は比較的低く、審査に通れば継続的な取引が可能です。もっとも審査基準は厳しめで、審査機関も1カ月から3カ月程度を見ておいたほうがよいでしょう。

不動産担保ローン
不動産を担保にいれて融資を受ける方式が不動産担保ローンです。一括で借入れる場合と限度額を設定して都度借入れる場合があります。審査手続きはスピーディーに行われ、借入申し込みから融資実行まで数週間から1カ月程度で完了します。

しかし、利用者が原則として不動産の所有者に限られること、融資限度額が不動産の担保価値に依存することが難点となります。

民間金融機関による融資は、開業資金・運転資金調達によく利用される方法です。銀行や信用金庫の審査を経て融資を受ける方法であり、金融機関ごとにさまざまな融資サービスを提供しているので、用途や目的、希望に沿ったものを選べます。

民間金融機関を利用する主なメリットは、一度融資を受けられればそれが取引実績となり、継続して融資が受けやすくなることです。しかし、信用に傷があると審査に通過できないことがあるなどのデメリットもあります。ローン返済に滞った過去などがあると、融資を受けることは難しくなります。また、その他の融資方法と比べると金利が高い傾向にあります。

ビジネスローン

ノンバンクが提供する事業性ローンは一般にビジネスローンと呼ばれます。審査は最短で即日としている金融機関もあり、機動的な資金調達が可能です。一方で金利はかなり高めに設定されているために、リスクは高めです。返済期間を短めにし、短期的な資金を調達するのにとどめておいたほうがよいでしょう。

続いて銀行やノンバンクからのビジネスローンを利用するという方法もあります。

融資と比較するとビジネスローンの方が気軽に利用できますが、金利が高くなるというデメリットに気をつけるべきです。

なおノンバンクのビジネスローンを利用した場合、銀行から融資を受けられないほど逼迫していると捉えられ、銀行からの評価が落ちてしまう可能性もあります……。

そのため場合によっては、今後、銀行からの借り入れが難しくなることもあるでしょう。

こういった事態を回避するためにも、ビジネスローンを利用するのであれば銀行の商品を視野に入れることをおすすめします。

 緊急の融資を受けたい場合は、ビジネスローンも有力な手段です。ビジネスローンの審査では、スコアリングシステムが採用され、決算情報などを入力すると融資額や金利などの審査結果を見ることができます。

 ビジネスローンはお手軽な反面、通常の借り入れよりも金利が高くなる傾向にあります。

 また、ノンバンク系のビジネスローンを利用すると、銀行によってはマイナス評価となり、通常の借り入れに支障が出る可能性があります。

 ノンバンク系のローンを利用することは、金融機関からの融資が受けられない(財務内容が悪い)会社との印象を持たれかねないからです。

 そのため、普段取引のある銀行系のビジネスローンを利用することをおすすめします。

ファクタリング

ファクタリングを利用して、売掛金をすぐに現金化するという方法もあります。

そもそもファクタリングとは売掛け債権をファクタリング業者に売却し、手数料を差し引いた売掛金を最短即日で、現金化する資金調達方法のことをいいます。

そのため、借り入れには該当せず、信用情報にも傷をつけません。

融資と比較しても審査は簡単で、スピーディーな取引ができることからも、ここ数年注目度が上昇しています。

ファクタリングを利用するメリット
 最短だと申し込んでから即日で、売掛金を現金化できる
審査が簡単なので比較的、資金を調達しやすい
2社間ファクタリングであれば、売掛先にファクタリングを利用したことは基本的に知られてしまう心配がない
ファクタリング業者によっては資金繰りを改善させるためのサポートをしてくれる
このように、ただ資金を調達するだけでなく、会社の経営を安定化させるようなアドバイスをしてくれるファクタリング業者もあります。

特にビートレーディングであれば、申し込みから最短12時間で資金を調達でき、手厚いアフターサポートも付随してきます。

運転資金
悪徳業者といわれるファクタリング業者もある中で、ビートレーディングであれば実績も豊富で口コミでの評価も良いため、安心して利用できるはずです。

 悪徳ファクタリング業者の特徴
手数料が相場よりも高いもしくは低い(一般的に2社間取引で10%から20%ほど、3社間取引で2%から10%ほど)
契約書をもらえない
償還請求ありの契約を求められる
簡単にいうと、売掛け債権を担保に、高利貸しを行う業者を悪徳ファクタリング業者といいます。

そのような悪徳業者に引っかからないためにも、実績豊富なビートレーディングの利用がおすすめです。

ファクタリングとは、回収期日前の売上債権をファクタリング会社に売却し、資金調達を行う方法です。

 売上債権の回収期日日前に現金化できるため、資金繰りが苦しい時などの資金調達手段として利用されています。銀行融資に比べ審査期間が短いことも利用者のメリットです。

 一方で、ファクタリングでは高い手数料を払うことになりますので、無計画に利用してしまうと、長期的には資金繰りがさらに悪化してしまう可能性があるため、十分に注意する必要があります。

 また、ファクタリングのように見せかけ、売掛債権を担保にして高利貸しを行っている違法な業者も報告されています。

補助金・助成金

先端技術の開発に関わる事業やコロナ感染症対策に関する資金需要などの場合には、国や地方自治体が補助金・助成金を用意していることがあります。政府や自治体のホームページで紹介されていますので、検索してみてください。

審査が通れば、基本的には返済する必要のない資金ですので、大きなメリットがあります。しかし、必要書類についてかなり詳細な資料を要求されること、審査期間が3カ月から6カ月と長いこと、資金の実行は審査終了後であることについては注意が必要です。

開業する際、融資同様に多くの方が選択するのが補助金・助成金の活用です。日本には補助金・助成金の制度が数千種類も存在するとされており、申請前によくリサーチしておく必要があります。基本的に、補助金と助成金では助成金のほうが受給できる確率が高いと言われています。

補助金・助成金のメリットとして大きいのが、「返済が不要」という点です。将来的には必ず返済の義務が生じる融資との、大きな違いと言えます。また、前述したように補助金・助成金には多くの種類があるため、自分の会社に適した制度が見つけやすいのもメリットです。

ただし、補助金・助成金には「後払い」になってしまうというデメリットもあります。申請が通ったとしても、即座に入金されるわけではありません。使い終わった経費の報告・確認を経て初めて入金されるため、「今すぐ資金が必要な場合」にはおすすめできない方法です。

親戚や知人などからの借り入れ

あまりおすすめできない方法ですが、親戚や知人などから借り入れるという方法もあります。

返済が滞ったり、次から次に借り入れを重ねたりすると、人間関係が壊れるなどの悪影響が生じる可能性があるため、慎重に検討すべきです。

借り入れをお願いするだけでも、人間関係にヒビが入る可能性があります。

そのためどうしてもお願いするのであれば、きちんとした返済計画を示すなど、精一杯の誠意を見せるべきです。

運転資金が調達できないときの対策

運転資金がない……そんな場合は、融資を受けるなどして資金を調達する他ないのでしょうか……?

ここからは、そもそもの運転資金が足りない場合の考え方についてお伝えします。

下記でお伝えする考え方を知っておくことで、経営の仕方を工夫できるでしょう。

運転資金自体を少なくする

まず、営業を続けるにあたって不要なコストがないのか見なおしてみましょう。

不要なコストの例
 宣伝費に莫大なコストがかかっている→認知度があり売上も安定しているのであれば宣伝広告費を減らす
売れ行きの悪い商品を仕入れている →在庫の仕入れや材料の仕入れを減らす
外注に頼りすぎている       →自社で経験を積むためにも外注費用を減らす
このように当たり前にかかっていたコストも、見直すことで不要だと気が付けることがあります。

運転資金自体を減らすことで、蓄えておかなければならない金額も減少します。

そのため経営を安定化させることができるでしょう。

サービスや商品の価格を上げる

もう一つの考え方として、商品やサービスの価格自体を上げるという方法もあります。

具体的には価格を上げることで、利益率を上げ現金を残していくという考え方です。

とはいえ、価格を上げたことで顧客離れが進んだり、評判が悪くなったりすることを心配する経営者も多いでしょう。

しかし日本で流行している商品やサービスは、本来の価値よりもかなり安い価格で販売されているものも多くあります。

激しい価格競争に飲み込まれた結果、良い商品やサービスを提供しているのにも関わらず、倒産してしまった企業も少なくありません。

つまり、価格自体を上げるというよりも、その商品やサービスを提供できるだけの適正価格に戻すという考え方もできます。

売上債権と買入債務の期間を見直す

資金繰りを改善するには、売上債権や買入債務の期日を見直し、入出金の時期をコントロールするのが基本的な手段です。売上債権の回収期間を短縮し、売り上げを現金化するまでのスピードが早くなれば、手元の資金が増えていきます。逆に買入債務の支払いまでの期間を引き延ばせば、資金が減るのを緩やかにすることができます。

ただし、どちらも自社の都合だけでは変更できず、取引先と交渉が必要です。交渉の仕方によっては取引継続が難しくなるリスクもあるため、十分注意しましょう。

不良在庫を削減する

資金繰りの悪化には、保有している在庫が影響していることもあります。不良在庫は現金化するのが難しいため、なくすまで時間がかかってしまうことが多いものです。長期滞留している在庫は処分するなどして、早期に削減する努力が必要となります。

固定費を見直す

人件費や店舗建物の賃料などの固定費は、毎月同じ金額が必要になります。その分不要な固定費を削減できれば、資金繰り改善の効果は大きいです。現在支払っている固定費を見直し、削減できる方法がないか考えてみましょう。より安い賃料の建物への移転などの工夫が必要となる場合もあります。

未回収債権を整理する

保有する売掛金や受取手形の中に、長期間回収できず不良債権化しているものがあれば、回収することで運転資金を減らすことが期待できます。

ただし、これまで長期間解消できていなかった場合、急に入金を要請してもスムーズに解消できない場合が多いものです。状況によっては法的な手段を取る必要が出てくるかもしれません。

返済計画を見直す

すでに借入金があるなら、資金繰りの改善のために返済計画を立て直すのも一つの方法です。どうしても返済が困難な場合、借り入れしている金融機関に相談しリスケジュール(返済の猶予、期間引き延ばし)してもらうことも手段として考えられます。

ただし、当初の予定通り返済ができないことで金融機関からの信用が低下する可能性がありますし、経営改善計画書の提出も必要となります。リスケジュールの必要性と、どのように改善していくのか金融機関を説得できなければ、審査で断られてしまうこともあり得ます。

他の方法で改善することを第一に考え、どうしても難しい場合に選択することをおすすめします。

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